問題No.2

難易度 ★★★★

症例

76歳女性。菌血症を伴う腎盂腎炎のため入院し、抗菌薬の投与が開始された。入院2日後、睡眠中に徐脈が認められたため、12誘導心電図(A)が記録された。翌日、心電図が再度記録された(B)。

12誘導心電図

問題N0.2

この心電図の診断は?

○ A:1度房室ブロック
○ B:3枝ブロック
○ C:変行伝導
○ D:心室二段脈

正解 B:3枝ブロック

この心電図のポイント

① P波を探す
② P波とQRS波のつながりを見る
③ 軸偏位を見る

解説

心電図A:心拍数(RR間隔)は42bpmで規則的なリズムです。各QRS波の前にP波があり、PR間隔は440msecで一定です。PR間隔が延長(>200msec)しているので1度房室ブロックが示唆されます。P波は幅広く(>120msec)、II、III、aVF誘導で顕著なノッチがあり、2峰性のピークの間隔は40msec以上あるので左房拡大(僧帽性P波)の所見です。

ここで、見えにくいですがQRS波の後にもP波が見られます。V1誘導で見えやすいですが、ほとんどの誘導でT波の上行脚にP波が認められます。PP間隔は一定なので、これは洞不全による徐脈ではなく、房室伝導比が2:1の房室ブロックです。2:1房室ブロックはWenckebach型かMobitz II型のいずれかであり、伝導パターンの変化を見ることでそのタイプを特定できる場合があります。

QRS波の幅は160msecと延長しており、V1誘導でrsR′、V6誘導でQRS波終末の幅広いS波を伴う右脚ブロックの形態を示しています。電気軸はI誘導で陽性、II誘導で陰性であり-30°〜-90°の間なので左軸偏位です。aVF誘導でrS波、aVL誘導でqR波を伴っており、左軸偏位をきたす他の原因がないため左脚前枝ブロックと考えられます。右脚ブロックと左脚前枝ブロックの両方が存在する状態を二枝ブロックと呼びます。

今回は2度房室ブロックも存在するため、このパターンは3枝ブロックと呼ばれます。しかし、2度房室ブロックは房室結節またはヒス束の伝導障害の結果である可能性があるため、脚枝の伝導障害であることを確定することはできません。

心電図B:リズムは不規則ですが、長い間隔(└┘)はすべて同じで、短い間隔(┌┐)はすべて同じというパターンがあります。心電図AのQRS波と同様に、QRS波は幅広く右脚ブロック波形です。各QRS波の前にP波が見られ、PR間隔は一定です。3、6、9拍目のQRS波は波形が違いますが他のQRS波と同じPR間隔を持っています。したがって、これらは心房から心室へと興奮が繋がっています。同じPR間隔を持つ伝導されたQRS波が2つあるため、2:1房室ブロックはMobitz II型であると判断できます。したがって、心電図Aの2:1房室ブロックはMobitz II型の結果です。房室ブロックの前後にあるQRS波(1、2、4、5、7、8拍目)は、I誘導で陽性のQRS波、IIおよびaVF誘導で陰性のQRS波であり、−30°から−90°の間の左軸偏位を示し、左前枝ブロックの所見です。3、6、9拍目のQRS波は軸が異なります。これらのQRS波は、I誘導で陰性、II誘導で陽性です。aVF誘導は確認できませんが、軸は右軸偏位になっています。右軸偏位の原因としては、右室肥大、側壁心筋梗塞、WPW症候群、右胸心などがあります。本症例では、他の原因がないため左後枝ブロックによる右軸偏位と考えられました。右脚ブロックがベースにあり、左前枝ブロックと左後枝ブロックが交互に発生している状態で、これは3枝ブロックを示唆する所見です。この所見はMobitz II型2度房室ブロックの障害部位が脚に存在していることを裏付けることになります。

出典

ECG Challenge: July 2, 2013. Circulation. 2013 Jul 2;128(1):83.

ECG Response: July 9, 2013. Circulation. 2013 Jul 9;128(2):184.

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