問題No.9

難易度 ★★★☆ 

症例

64歳女性。高血圧の既往があり、β遮断薬とジルチアゼムによる治療を受けているが、定期健診のためにかかりつけ医を受診した。血圧が上昇していることが確認された(170/90 mmHg)ため、β遮断薬とジルチアゼムの投与量が増量された。1週間後に再診に来院した際、脈拍が遅いことが確認されたので心電図検査が行われた。

12誘導心電図

問題No.9

この心電図の診断は?

○ A:1度房室ブロック
○ B:2度房室ブロック
○ C:3度房室ブロック
○ D:洞徐脈

正解 3度房室ブロック

この心電図のポイント

P波とQRS波の関係性

解説

心拍数は36bpmで規則的なリズムです。QRS波は狭く(0.08秒)、形態は正常です。I誘導でQRS波が陽性、aVF誘導でQRS波が陰性、II誘導で等電位なので電気軸は約-30°です。QT/QTc間隔は正常です(480/370msec)。

問題No.9

P波が見られ、PP間隔は75bpmで安定しています。P波はI、II、aVF誘導、V4~V6で陽性なので洞調律です。ただし、PR間隔は一定ではなく、最初はわずかに異なるだけですが、10番目のP波はPP間隔が短くて他のP波とは異なる形をしています(V1~V3で陰性)。これは心房期外収縮です。この結果、洞結節がリセットされ、最後の3拍のP波とQRS波の関係が変動することがわかります。PP間隔は他の場所と同じになっています。

問題No.9

したがって、P波とQRS波がつながっていない、つまり房室解離が存在しており、完全房室ブロックまたは促進性接合部調律に起因する可能性を考えます。補充調律の発生部位(接合部・心室)の判断基準は、補充調律のレート(この場合は36bpmと遅い)ではなく、QRS波の形(narrow・wide)に基づいています。本症例ではQRS波がnarrowで心房レートが心室レートよりも速いため、接合部補充調律を伴う完全房室ブロックです。ちなみに房室解離のもう1つの原因は促進性接合部調律であり、この状況では心房レートは心室レートよりも遅くなります。

問題No.9

参考文献

ECG Challenge: February 17, 2015. Circulation. 2015 Feb 17;131(7):681.

ECG Response: February 24, 2015 Circulation. 2015 Feb 24;762-763

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