問題No.11

難易度 ★☆☆☆ 

症例

76歳男性。健康診断で心電図検査を行った。

12誘導心電図

問題No.11

この心電図の診断は?

○ A:V1誘導のrR’波
○ B:V6誘導のS波 < 40msec
○ C:QRS幅 ≧ 120mesc
○ D:V1誘導のST上昇

正解 C:QRS幅 ≧ 120mesc

この心電図のポイント

V1誘導とV6誘導の特徴的な波形

解説

この心電図は、V1誘導で終末部に大きなR′波、I・V6誘導で幅広い終末S波、QRS幅の延長を認めており、典型的な完全右脚ブロックの所見です。右脚ブロックでは、左室は左脚を介して正常に興奮しますが、右脚を介した伝導が障害されるため右室は左室側から作業心筋を介して遅れて興奮します。この遅延した右室興奮がQRS終末部に加わるためQRS幅が延長します。成人の完全右脚ブロックでは、一般にQRS幅 ≧120 msecが重要な診断基準です。この心電図でもQRS波は明らかに延長しており、Cが正解です。

問題No.11

他の選択肢が違う理由

A:V1誘導のrR’波→×

V1では確かにrR′型に近い右脚ブロック特有の波形がみられます。しかし、右脚ブロックのV1波形は必ずしもrR′型に限定されません。rsR′、rSR′、rR′、RR′など、さまざまな形をとります。

問題No.11

今回の心電図ではr波の直後にs波が見られるので、波形としてはrsR’パターンです。

問題No.11

基線を超えて陰性波が存在すればs波と呼ばれ、波形が小さけれれば小文字のs、大きければ大文字のSで表されます。波形の大小の基準は明確に決まっているわけではありませんが、5mmを基準に使い分けている文献もあります。

B:V6誘導のS波 < 40msec→×

右脚ブロックでは、V1でR′を作るのと同じ遅延した右室終末興奮が、左側胸部誘導であるV6からは遠ざかる方向に向かいます。そのためI、V6では幅広い終末S波として記録されます。したがって「S波が短い」のではなく、むしろS波が延長するのが右脚ブロックの特徴です。診断基準ではI・V6のS波について、S波持続時間がR波持続時間より長い、またはS波>40msecといった基準が用いられます。この心電図でもV6のQRS終末部に40msecを超える幅の広いS波が確認できます。

問題No.11

D:V1誘導のST上昇→×

右脚ブロックではV1〜V3のST-Tは、QRS終末部のR′とは反対方向に偏位する二次ST-T変化を示すのが典型的です。そのためV1では、一般にST低下とT波陰転がみられます。この心電図でもV1の大きなR′に続いてST部分は基線より低下し、T波は陰性となっています。

問題No.11

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