難易度 ★★☆☆
症例
21歳男性。心臓疾患の既往歴はなし。断続的に起こる動悸を訴え、病院を受診した。動悸は通常数分で治まるが、1週間前にはより長時間続く動悸があった。この動悸も自然に治まった。身体診察の結果は特記すべき所見はなかった。心電図検査を行った。
12誘導心電図

この心電図の診断は?
○ A:等頻度房室解離
○ B:左脚ブロック
○ C:心室期外収縮
○ D:WPW症候群
正解 D:WPW症候群
この心電図のポイント
PR間隔の変化
解説
心拍数は64bpmで整です。QRS波の前にP波が見られ、I、II、aVF、およびV4〜V6ではP波は陽性であり洞調律です。QRS波には2つの異なる形が存在します。

正常な持続時間(0.08秒)の幅の狭いQRS波が2拍みられます。これらのQRS波のQT/QTc間隔は正常(380/390ms)です。これら2拍のQRS波に関連するPR間隔は同じで正常(0.20秒)です。

残りのQRS波は幅広く(0.16秒)、V1でrS波とV5、V6でスラーを伴う幅広いR波がみられ左脚ブロックパターンです。すなわち、心室の興奮が右室から左室の順番で伝導されていることを示唆します。

QRS波の幅の拡大は、QRS波の非常に遅いスラー状の上昇の結果です。さらに、これらのQRS波に関連するPR間隔は一定ですが、狭いQRS波とは異なります。PR間隔は短い(0.10秒)です。

短いPR間隔とスラー状の上昇を伴う幅の広いQRS波は、WPW症候群の特徴です。スラー状の上昇はデルタ波と呼ばれます。この場合、WPW症候群のデルタ波は間欠的で正常な伝導と交互に現れているので間欠性WPW症候群となります。

参考文献
ECG Challenge: February 3, 2015. Circulation. 2015 Feb 3;131(5):513.
ECG response: February 10, 2015. Circulation. 2015 Feb 10;131(6):591-2.

