難易度 ★☆☆☆
症例
66歳男性。健康診断で脈の乱れを指摘されたため、12誘導心電図を記録した。
12誘導心電図

この心電図の診断は?
○ A:心室性二段脈
○ B:心房性二段脈
○ C:心室性三段脈
○ D:2度房室ブロック
正解 A:心室性二段脈
この心電図のポイント
① 早期に出現するQRSがある
② 先行するP波がない
③ QRS幅が広く、正常QRSと形が異なる
④ 正常収縮と1:1で交互に出現
解説
本心電図では、洞調律による正常収縮の後に幅の広い異常な形態のQRS波が早期に出現しています。
この早期収縮では、QRS波の直前に明瞭なP波を認めず、QRS波は正常収縮とは明らかに異なる幅広い形態を示しています。このことから、この早期収縮は心室期外収縮と判断できます。
さらに重要なのは、その出現パターンです。
洞収縮 → PVC → 洞収縮 → PVC → 洞収縮 → PVC……
と、正常収縮1拍ごとにPVCが1拍出現しています。
このように正常収縮とPVCが1拍ずつ交互に繰り返される状態を心室性二段脈といいます。
「二段脈」は期外収縮そのものの名称ではなく、正常収縮と期外収縮が1:1で交互に出現する配列パターンを表す言葉であることがポイントです。
他の選択肢が違う理由
A:心房性二段脈
心房期外収縮(PAC)でも、洞収縮とPACが交互に出現すれば心房性二段脈となります。
しかしPACでは、予定された洞性P波より早く異なる形態のP′波が出現し、その後のQRS波は通常は狭く、洞収縮時のQRSと似た形態を示します。
本例の期外収縮では、明瞭な先行P波を認めず、QRS波が幅広く大きく変形しているため、PACよりPVCが考えられます。
C:心室性三段脈
心室性三段脈(ventricular trigeminy)は、典型的には
正常収縮 → 正常収縮 → PVC
というように、3拍ごとにPVCが出現するパターンです。
本例では正常収縮1拍とPVC1拍が交互に繰り返されているため、三段脈ではなく二段脈です。
D:2度房室ブロック
2度房室ブロックでは、心房から心室への興奮が一部伝導されないため、P波が存在するにもかかわらず、その後のQRS波が脱落します。
これに対して本例ではQRS波が脱落しているのではなく、正常QRSの間に予定より早く幅広いQRS波が出現しています。したがって房室ブロックではありません。

