問題No.20

難易度 ★★☆☆ 

症例

68歳男性。動悸を主訴に来院。心電図検査を施行した。

12誘導心電図

この心電図の診断は?

○ A:洞頻脈
○ B:心房細動
○ C:心房粗動
○ D:心房頻拍

正解 C:心房粗動

この心電図のポイント

P波とQRS波のレート

解説

この心電図では、QRSは比較的規則正しく出現し、心室拍数は約100回/分です。一見すると洞性頻脈や心房頻拍のようにも見えますが、II、III、aVF誘導に注目すると、通常のP波ではなく、鋸歯状に連続する規則正しい心房波が認められます。これは心房粗動に特徴的なF波(粗動波)です。

特に、II・III・aVFで陰性のF波が連続し、等電位線がほとんど認められないことが診断のポイントです。この所見は、三尖弁輪周囲を反時計回りに旋回する通常型心房粗動に合致します。

心房粗動では心房が通常約250~350回/分、典型例では約300回/分で興奮しています。しかし、このすべてが心室へ伝わるわけではありません。

この心電図ではF波がおよそ300回/分で出現しているのに対し、QRSはおよそ150回/分です。

300 ÷ 2 ≒ 150回/分

となるため、2:1房室伝導を呈する心房粗動と考えられます。

つまり、

F波 → F波 → QRS波

という関係で、約2回の心房興奮に対して1回の心室興奮が生じています。

心房粗動は3:1伝導なら約100/分、4:1伝導なら約75/分となります。そのため、心室拍数が150/分程度の場合は心房粗動を考えます。

他の選択肢が違う理由

A:洞頻脈

洞性頻脈では各QRSの前に洞性P波があり、基本的にはP波とP波の間に等電位線があります。本例では下壁誘導に規則正しい鋸歯状波が連続しているため否定的です。

B:心房細動

心房細動では一定した形態のP波を認めず、心室応答は通常絶対性不整となります。本例では心房活動が規則正しく、同じ形のF波が一定間隔で繰り返されている点が異なります。

D:心房頻拍

心房頻拍でも規則正しい異所性P波がみられますが、通常はP波とP波の間に等電位線があります。本例のような連続した鋸歯状F波は心房粗動を支持します。

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