難易度 ★☆☆☆
症例
52歳の男性。健康診断で心電図異常を指摘された。自覚症状はない。
12誘導心電図

この心電図の診断は?
○ A:洞調律
○ B:洞不整脈
○ C:心房期外収縮
○ D:接合部調律
正解 A:洞調律
この心電図のポイント
① 各QRSの前にP波がある
② P波とQRSが1:1
③ II誘導でP波が陽性
④ aVRでP波が陰性
⑤ P波の形が一定
解説
本心電図では、各QRS波の直前にP波が認められ、P波とQRS波が1:1に対応しています。また、P波はII誘導で陽性、aVR誘導で陰性となっており、洞結節から生じた興奮が心房を正常な方向へ伝播していることがわかります。
さらに、P波の形態は拍ごとにほぼ一定で、PR間隔にも大きな変化はありません。RR間隔も概ね規則的です。以上から洞調律と判断します。
他の選択肢が違う理由
B:洞不整脈
洞性不整脈も興奮の起源は洞結節なので、正常な洞性P波が各QRS波に先行します。そのため洞調律との鑑別ではP波だけでなく、PP間隔・RR間隔の変動を見ることが重要です。
典型的な呼吸性洞性不整脈では、吸気時に心拍数が増加し、呼気時に減少するため、RR間隔が周期的に変化します。本例では多少の揺らぎはみられるものの、明らかな周期的RR間隔の変動は認めず、洞性不整脈とするほどではありません。
C:心房期外収縮
心房期外収縮では、基本調律よりも予定より早いタイミングで異所性P波(P′波)が出現します。P′波は洞性P波とは異なる形態を示すことが多く、その後に通常は狭いQRS波が続きます。本例では、特定の1拍だけが明らかに早く出現する所見や、形態の異なる早期P波を認めません。したがってPACは否定的です。
D:接合部調律
接合部調律では房室接合部付近から興奮が発生するため、心房へは逆行性に興奮することがあります。その結果、P波が見えない、QRSの直前または直後に逆行性P波を認める、II・III・aVFでP波が陰性になるなどの所見がみられます。
本例ではII誘導で陽性のP波がQRSに先行しているため、接合部調律ではなく洞結節由来の調律と判断できます。

