難易度 ★☆☆☆
症例
30歳男性。健康診断で記録された12誘導心電図を示す。自覚症状はない。
12誘導心電図

この心電図の診断は?
○ A:洞調律
○ B:心房細動
○ C:心房粗動
○ D:接合部調律
正解 A:洞調律
この心電図のポイント
II誘導で陽性P波、aVRで陰性P波
解説
本心電図では、ほぼ一定のRR間隔でQRS波が出現しており、それぞれのQRS波の直前にP波を認めます。P波とQRS波は1:1に対応しています。
さらに重要なのがP波の極性です。洞結節は右房上部に存在するため、正常な心房興奮は右上方から左下方へ向かって進みます。そのため洞調律では、一般にI・II誘導でP波が陽性、aVR誘導で陰性となります。本心電図もこの特徴を満たしています。正常洞調律では、一定したP波形、P波とQRS波の1:1対応、一定したPR間隔などが基本的な特徴となります。
心拍数もおよそ60~70回/分程度で、著明な徐脈や頻脈はありません。したがって、単に洞性興奮が認められるだけでなく、通常の正常洞調律と判断できます。古典的には正常洞調律の心拍数は60~100回/分とされています。
他の選択肢が違う理由
B:心房細動
心房細動では、明瞭なP波が消失し、RR間隔が不規則になる「絶対性不整脈」が特徴です。本例では各QRS波の前に規則的なP波が確認できるため否定的です。
C:心房粗動
心房粗動では、通常のP波の代わりに規則的な鋸歯状のF波(粗動波)を認めます。特にII、III、aVFなどで観察しやすいですが、本例ではそのような連続した心房興奮は認めません。
D:接合部調律
接合部調律では房室接合部付近から興奮が発生するため、正常な洞性P波を認めないことが多く、逆行性P波がQRSの直前・内部・直後に出現することがあります。本例ではII誘導で陽性、aVR誘導で陰性のP波が各QRSに先行しており、洞結節由来の興奮を支持します。

