問題No.23

難易度 ★☆☆☆ 

症例

28歳女性。動悸を自覚したため12誘導心電図を記録した。心電図を示す。

12誘導心電図

問題No.23

この心電図の診断は?

○ A:洞頻脈
○ B:心房頻拍
○ C:心房粗動
○ D:発作性上室性頻拍

正解 A:洞頻脈

この心電図のポイント

① 心拍数100回/分以上
② RR間隔はほぼ規則的
③ 各QRSの前にP波
④ P:QRS=1:1
⑤ IIでP波陽性・aVRで陰性

解説

本心電図では、規則正しい頻脈を認めます。RR間隔はおよそ3大マス弱であり、心拍数は約110回/分前後と推定されます。

ここで重要なのは、頻脈の速さだけではなくP波を確認することです。

各QRS波の直前には一定した形態のP波が認められ、P波とQRS波は1:1に対応しています。またP波はII誘導で陽性、aVR誘導で陰性であり、洞結節から生じた正常な方向の心房興奮を示しています。

さらにQRS幅は狭く、PR間隔もほぼ一定です。

したがって、

洞性P波 → 一定のPR間隔 → QRS

という正常な興奮順序を保ったまま心拍数が100回/分を超えており、洞頻脈と判断します。

他の選択肢が違う理由

B:心房頻拍

心房頻拍も規則正しい狭いQRS頻拍となるため、洞頻脈との鑑別が必要です。

心房頻拍では洞結節以外の心房から興奮が発生するため、一般にP波の形態や電気軸が洞性P波と異なります。たとえば下位心房起源であればII、III、aVFで陰性P波を示すことがあります。

本例ではII誘導で陽性、aVRで陰性という洞性P波の特徴が保たれており、心房頻拍より洞頻脈が適切です。

C:心房粗動

心房粗動では心房が通常約250~350回/分で規則的に興奮し、通常のP波に代わってF波(粗動波)が出現します。

典型的心房粗動ではII、III、aVFなどで鋸歯状の波形が観察されます。本例ではそのような連続したF波はなく、各QRSの前に1つずつ洞性P波が確認できるため否定できます。

D:発作性上室性頻拍

発作性上室性頻拍(PSVT)、特に房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)では、一般に突然始まり突然停止する規則正しい頻拍となり、心拍数は150~250回/分程度となることが多くあります。

またAVNRTでは心房と心室がほぼ同時に興奮するため、P波がQRSに埋もれて確認できないことがあります。

本例では心拍数は約110回/分と比較的緩やかで、何より各QRSの前に明瞭な洞性P波が存在しています。このためPSVTではなく洞頻脈と判断します。

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